120年以上の歴史を誇る東京藝術大学の古美術研究旅行。第6回となる「おとなの古美研」では、南山城から奈良、そして兵庫へと足をのばします。時代を超えて人々の信仰を集めてきた仏像の名作を、東京藝術大学ほかの講師陣が丁寧に解説します。
旅のはじまりは、京都府・南山城の禅定寺。本尊の十一面観音像をはじめとする10-11世紀の木彫像について、ゲスト講師の奈良教育大学・山岸公基教授より現地講座をしていただきます。昼食後には奈良に入り、十輪院を訪れます。ここでは、わが国では非常にめずらしい石仏龕(鎌倉時代)を見学。続く西大寺では、本堂の釈迦如来像(鎌倉時代)のほか、四王堂の十一面観音像(平安時代後期、円信作)と四天王像(室町時代、邪鬼は奈良時代)を見学します。
2日目は兵庫の名刹を巡ります。まず向かうのは、聖徳太子建立と伝える古刹、鶴林寺。宝物館で清々しいお顔の聖観音像(飛鳥時代後期)を見学するほか、境内の太子堂を訪れて、平安時代後期の来迎壁板絵などを見学します。一乗寺では、宝物館で飛鳥時代後期の金銅仏や古代中世の僧形像などを見学します。最後に訪れる浄土寺では、東京藝術大学学部生の現地解説とともに、鎌倉時代初期に造営された浄土堂と阿弥陀三尊像を見学します。浄土堂の広やかな空間の中で、エキゾチックなお姿の快慶作の巨像と対面します。東大寺復興造営を担った俊乗房重源により、阿弥陀来迎のようすを体感できる空間として構想・設計された浄土堂と阿弥陀三尊像の見学は、旅の締めくくりにふさわしいひとときとなるでしょう。